akamano’s diary

はてなダイアリーから引っ越した放置ブログです

BRM604宇都宮600kmレポート

速報を先に書いておいたのだが、今年3回目の600kmブルベ、BRM604宇都宮のレポート。

震災の影響でコースは当初の予定から大幅変更。宇都宮から那須塩原猪苗代湖を越え山形県まで行って戻ってくるコース。

土曜日の深夜0時スタートなので、金曜に有休を取って準備。夕方に仮眠するつもりで1時間ほど横になったのだが、やはり眠れなかった。東北新幹線で宇都宮へ。


いつもの宇都宮駅前だが、今年は電力不足で駅のサインが消灯してしまっていた。

駅で自転車を組み立てる。他にも何名かブルベ参加者がいた。

スタート地点の森林公園まで自走。kojikojiさん、[twitter:@naderaman]さん、[twitter:@aoki50]さん、[twitter:@vyv00411]さん などとご挨拶。ママチャリのへばなさんもいた。

第2ウェーブで23:55のスタート。最初は集団走行の前の方を走っていたがいつものように十数キロあたりで登りでちぎれ一人旅に。

PC1に1:47着、48km。貯金は1時間半以上、かなりいいペースだ。


この季節なら走っていればアームカバーは要らないと思っていたのだが予想以上に冷え込むのでアームカバーを装着。眠気に先手を打ってレッドブルをドーピング。すぐあとからnaderamanさんが来て、速攻で先に出て行かれた。

那須高原のピーク手前で空腹を感じパンを補給。登り切った後下りの前にウィンドブレーカーを着る。

西郷村の道路。震災の影響で道路に巨大な亀裂が発生している。

パイロンが立っているが真っ暗では危険だ。幸いなことに空は白んできていた。

PC2に4:19着、98km。貯金はあまり変わらず。流石にペースは落ち気味。



寒かったので暖かい物を食べる。日の出はまだ。かなり眠い。予想はしていたが今からこれで大丈夫かかなり不安になる。(実際大丈夫じゃなかったのだが…)

出発して4:37頃、日が昇ってるのに気づく。しかし明るくなっても眠気は収まらず、特産品販売所で5分程横になる。

5:30頃、日は完全に昇っているのだがまたもや眠気がやばくなってきたのでどこかとにかくぐったり出来るところを探しながら走るが見つからず、民家のガレージの前を借りて地面に横になる。どうもここでへばなさんに写真を撮られていたらしい?


この後も何回か危険を感じて休憩を繰り返す。ペースは全く上がらない。先が思いやられる。そして勢至堂の登りへ。天気はよく景色もいい。問題は眠気だけ。

ピークの勢至堂トンネル。

少し下って猪苗代湖畔へ。なかなかの景色。


しかし眠気が収まらず湖畔の駐車場のベンチでぐったりしていたら、出発間際に駐車場にいた車のなかのおばちゃんが「頑張ってー」とバナナをくれた。ちょうど腹が減ってきたところだったのでありがたく走りながらいただく。こんなことがあるとちょっとうれしくなる。いいね!

美しい田園風景の中を走る。向こうに見えるのは磐梯山

PC3に8:13到着、156km。貯金は平地でがんばったのが効いたか2時間ちょっとに拡大。


眠気覚ましにコーラ、そして気温が上がってきたのでボトルに氷を入れて備える。そして日差しもきつくなりそうなので日焼け止めをべったりと塗る。

出発し、裏磐梯高原への登りの途中でさすがに暑くなったのでアームウォーマーをUVアームカバーに交換。

高級別荘地といった風情の高原、桧原湖沿いを走る。そして前半の山場、白布峠の上りへ。


まだ前半だというのに暑さもあってあまりスピードは出ず10km/h。

途中写真が撮れそうな所があったので休憩。

走り屋が好みそうなところでタイヤ跡があった。

白布峠着。絶景。後から着いた方も記念写真を撮っていた。実際の峠はもうちょっと先にあるらしい。


コーナーを曲がると、シークレットPCがあった。



ブルベカードを提出し、味噌汁をいただく。塩分がうまい。しばし休憩して出発。

ここから山形県米沢市

下りきってちょっと平地を走ると、水窪ダムへの登り激坂。ドリンクが無くなった。

次はぶどうまつたけラインとかいう名前の道路なのだが、こういうファンシーな名前が付いている道路は大抵やばいと相場が決まっている。所謂広域農道でアップダウンが多いのだ。ちょうど自販機があったので、ドリンクを補給。選択肢が限られていたのでカルピスソーダ

緩い登りを登ってるあたりで会社から電話がかかってきた…幸いにして大事には至らず。

丘を2つ超えてPC4に13:08着、236km。貯金は3時間弱。峠を挟んだ事を考えれば上出来としよう。暑いので冷やし中華

少し折り返して登り、柏木トンネル。下りはまっすぐで気持ちよく50km/h。

下りきったところで腹が減ったのと暑かったのでコンビニ休憩。あずきバーがうまい。

長谷堂トンネルを抜け、「えっこんなところが国道なの?」というようなR458をくねくねと走り抜ける。途中、交差点でバイクと人が倒れて介抱されているのを目撃。どうやら事故があったようだ。

PC5の寒河江のふるさと総合公園には16:10着。案内図をよく覚えていなかったのでちょっと迷ってしまった。295km、やっと折り返し地点。貯金は3時間30分。PCにいた人は、先ほどの事故がまさに起きたところを目撃してしまったらしい。

飲み物を頂き、広い多目的トイレでガッツリ軽量化してすっきり。(ビブショーツなので上半身裸にならないと用が足せないのだ) 通過チェックのサイン表を見たところ、最後尾にかなり近いポジションのようだった。速い人多いなあ…

次の区間、最初は小さなアップダウンを繰り返しながら少しずつ登る。途中、自転車を止めて写真を撮っている方が居たので僕も取ってみた。夕暮れ時の最上川の風景。

大分だれてしまい、また眠気と空腹がきたのでコンビニ休憩。おにぎりとアイスを補給。しかし全然ペースは上がらず。

PC6に19:15着、350km。


貯金はそれでも4時間に拡大。とはいえ、この次の区間は標高にして1200mアップの白布峠帰り道。眠気も厳しいと予想され、どこかで大休止と仮眠が必要。決して余裕があるとは言えない。PC6にいたN利さん(ゴール後お名前をお聞きした)ともう一人の方(たしかA埼玉ジャージの方)に、この先どうしますかと聞いてみたところ、お二人とも米沢にホテルを予約してあるがやはり時間的に厳しいとのこと。あと1,2時間余計にあればホテルでシャワーを浴びて一眠り出来たところなのだが。

僕は元々このくらいの時間になりそうと予想していたので、神奈川600km沼津クラシックの時にやったように、24時間営業のガストでどうにか眠気をやりすごすつもりでいた。しかしろくに眠れないことは分かっていたし、今からでもホテルに入れないだろうか、という事を考えつく。とりあえず米沢市街まで考えながら走るが、まとまらず。あるいは、第二の選択肢として用意しておいたここの銭湯も迷ったのだが、22:30で終了なのと、休憩所があるかどうかも不明、飯を別途食ってると更に時間を食ってしまうのでやめておいた。何となく市役所方面まで走って、途中でホテルを見つけられなかったので当初の予定通りガストに入る。時刻は20:10。


まだ時間が早いせいか、あまりうるさくはなかった。前回と全く同じハンバーグとスパゲティを腹に入れ、iPodで耳を塞いでとりあえず机に突っ伏してみる。今回は参加者は他にはおらず周囲の目が気になる。こういうのを平気でできる図太い神経がランドヌールには求められるのであろう。なんとなくぼーっとしているだけで、やはり眠ることはできなかった。そのうち両隣にも若者グループが座ってしまいますます居づらい雰囲気。諦めてトイレでコンタクトレンズを交換。意を決して退店。

駐車場でライトの電池を全部入れ替え、チェーンに注油。UVアームカバーを再度アームウォーマーに着替え。と、なにやらぽつぽつ雨が… 仕方なく出発。時刻は22:10、2時間の休憩だった。コースに復帰する地点の時刻で考えると貯金は1時間半程度に減少している。

幸いにして雨はすぐに止んでくれた。往路の合流地点あたりまでは比較的緩やかな登りで20km/h出る。ふと道の左側を見ると、側溝の上の格子がものすごく大きい。30cm角くらいあるか?おそらく、積雪時期に雪が積もらないように、また路上の雪を側溝に落とすためなのだろうが、これは小さな子供とか落ちそうだ。当然自転車で嵌ったら大変なことになる。注意して走行する。途中、ママチャリのへばなさんを抜いた。

そして、白布温泉のあたりからは酷い激坂になった。下ってるときにもこれはひどい、あとで大変なことになると思っていたのだがやはりその通りだった。眠気もあり、たまらず自販機でコーラ休憩。


この斜度である。建物の壁を見れば分かるが、カメラが斜めなのではない。ヒーヒーいいながら登る。眠気にくわえて、体温が上昇して頭も朦朧としてくる。そして、胃腸が気持ち悪くなって吐きそうになった。さっきのスパゲティが腹の中で暴れている。沼津クラシックの時は同じメニューでこんなことはなかったのに、やはり体力が消耗しているからか。

途中から声を出して気合いを入れないと耐えられなくなってきた。奇声を発しながら走っていたら前方に走者が見えてちょっと恥ずかしくなり自粛。このへんがまだ未熟なところなのか、なんなのか…。途中、走り屋の車からがんばれーと応援された。

それでもなんとか白布峠到着。当然何も見えない。ウィンドブレーカーを着て下り。

下のつづら折りのあたりから走り屋っぽいエンジン音が聞こえてくる。またタイヤの焦げたにおいがする。ブラインドコーナーで対向車線にはみ出た車が飛び出してきたらたまらないので、あまりスピードも出せずに下る。というか正直怖い。それでもさっき声をかけられたので、あまり悪い印象もなく、やっぱり挨拶ってのは重要なんだなと妙に納得した。

裏磐梯高原以降の下りは比較的まっすぐなのでスピードを上げて激下り。風で冷却されているので眠気は一時的に飛んでいるが、万一意識を失ったら死ねるので大声でボカロソングを歌いながら下る。途中何台か抜いた。

下りきってPC7。2:16で貯金は1時間半で変わらなかった。距離は416km。ここはドロップバッグポイントになっており、スタッフのS藤さんが待機されていた。ドロップバッグのアンダーウェアとジャージに着替え。後からきたN利さんはここで仮眠されていったようだ。結局、ホテルには泊まらなかったらしい。

眠気に不安が残るが出発。しかし猪苗代湖畔は向かい風気味でスピードが乗らない。このあたりから、0.1秒以下?のマイクロスリープを自覚するようになる。意識が途切れた感覚は無いのだが、クランクの回転が一瞬止まって脚が引っかかったような感じになる。これが最初の兆候だった…

湖畔を離れ勢至堂トンネルへの緩い登りに入ると体温がまた上がって頭がおかしな状態になってきた。周囲は既に明るいのだが、このあたりが今回のブルベでの暗夜行路区間になった。自分が何をやってるのか分からず、精神が錯乱している。とにかくフラフラになって脚だけ回してる。当然、何台かに抜かれた。何回も自転車を降りて路肩にうずくまるのだが復活しない。PCで買っておいたおにぎりを食べたら、多少復活した気がした。自分の場合、400kmを超えてからが真に厳しくなるようだ。

トンネルを抜けると60km/hで下り。正直この状態で下るのは怖かったのだが、やはり体が冷やされているうちは頭もおかしくならない。体温上昇が最大の敵らしい。

PC8に5:33着、466km。へばなさんが遅れて到着。追いつかれてしまった。

そばとおにぎり補給。

そして、PC8出発後30分あたりで、眠気が限界に達してしまった。意識を失い、気がついたら左側の路肩に落車していた。左の太ももと腕、指に擦過傷。幸いにして大きな怪我ではない。自転車の方は、左のSTIレバーがずれてしまったのと、フォークとハンドルがずれてしまった。いずれも携帯工具で再調整。しかし精神的な動揺は大きく、その場でしばらく休むことにした。

その後も眠気は収まらず、何回も休憩する羽目に。途中の交差点で抜かされたへばなさんに追いつき、落車の事などを話す。次は、宇都宮ブルベでおなじみの道の駅塙で、確か大きなトイレがあったはずなのでそこで怪我の手当をするつもりで先を急ぐ。

そしてPC9、道の駅塙、512km。8:46に到着し貯金はやはり1時間半。

消毒液と絆創膏を買い、多目的トイレでレーパンをめくって傷の手当て。しみる。そして、高かったアソスのウェアに穴をいくつか空けてしまってショック。やはり落車はいかんよ…




また日が昇って暑くなりそうだったのでボトルに氷、そして日焼け止めを塗り直し。40分近く長居してしまったが出発。

傷の手当てをして落ち着いたのか、最初のうちは30km/h巡航。しかし久慈川のアップダウンが始まると流石に速度低下。体温が上昇し、またもや危険な状態へ…

そして、やってしまった。二度目の落車。今回は何の前触れもなくやってきた。流石に落車したばかりだったのでそれなりに気をつけていたはずなのだが、やはり油断していたのかもしれない。前後の状況はよく覚えていないのだが、気がついたら左側のガードレールに激突し、すぐ後ろには他の参加者、右には車が停車していた。他の自転車や車を巻き込まなくて本当によかった。おそらく立ちゴケのような状態だったと思うのだが、今から思うと定かではない。

今度はさっきと違って左側にガードレールがあり、そこに右手親指をぶつけてしまい、こっちは単なる擦過傷では済まなさそうな痛み。左の太ももも強打してしまった。救急車を呼ぶような怪我ではないし自走も可能なのだが、やはり精神的なダメージは大きかった。近くに自転車を止め、再びずれてしまったハンドルを調整。眠れそうな場所を探してしばしうつむく。あーあ……

最後のPC10には11:35着、555km、貯金はやはり1時間半。

とりあえずさっきの消毒液などで再び怪我の応急処置。右の親指は、そんなに腫れていないものの、去年やはり居眠り落車で怪我してしまった左親指と同じような場所なので、靱帯損傷していないかどうかが気になる。去年の時はなんだかんだで1ヶ月以上手が不自由だった。しかも今年はPBP、その前に宇都宮の山岳3連戦があるので、長引くのは致命的だ。気持ちが落ち込む。正直、最初の落車でリタイヤしておくべきだったとか、今からでもリタイヤするべきではないか、とかいろいろ考えた。なにしろ、既に沼津クラシックでSRは確定しており、今回の600kmは走り切らなくてもPBPには行けるのだ。前回居眠り落車した千葉600km喜多方では、2回目の落車で諦めてリタイヤしたのだった。

しかし、あのときはそもそも時間的余裕がほとんど無く、落車した後ではほぼリカバリが不可能と思われ、またその後の山岳に入ってしまうとエスケープが難しく、夜だったというのもあった。今回はまだ走り続ければ余裕を持ってゴールできる時間ではある。正直、愚かな決断かもしれないと思いつつ、走り続けることにした。やはり「ブルベ(認定)」という言葉に僕は弱いというかなんというか。

というわけで、最後の八溝グリーンラインはとにかく居眠りしないことだけに注意を払った。コース自体は何度も走っており坂の具合も知っている。(地震の影響で一部エスケープルートだったが) 無理をせず、ゆっくり登って下り、危なくなったら即座に下りて休憩。

それと、これはこのとき気づいたのだが、近くやハンドル、GPSばかりを見て走っていると眠くなる。出来るだけ、遠くの景色を広く見るようにすると、気のせいなのかもしれないが気分がすっきりして眠気が多少遠のく。これからはこれを心がけるようにしよう。

最後の鶴カントリークラブの激坂をヒーヒー登っていると、遠くで雷の鳴る音が聞こえてきた。そういえば夕方から雨というような予報を思い出し、なんとか降り始める前に屋根の下に入ろうと必死で坂を登る。

そして、14:50に600kmゴール。貯金は1時間10分残っていた。やれやれ〜

これで、今年はダブルSRが取れた。よく考えたら、1年で600kmを2本完走したのは今年が初めてだった。やはり600kmはきつい。1000kmを完走した経験のせいで、どこか600kmを甘く見ていたところがあったような気がする。こういう苦い経験を繰り返してランドヌールは成長するのだろう、と信じたい。

スタッフの方や参加者とひとしきり話をして、雨が降らないうちに退散。挨拶をして森林公園を後にする。宇都宮駅までの自走も14km位あり、ここで居眠り落車したらしゃれにならないので、引き続き注意して走行。家に辿り着いて、やっとブルベは終了となった。

次の日は普通に定時に出勤だったのがちょっと辛かった…

(後日談)その後整形外科に行き、右手親指は前回ほど酷くはなく、靱帯は大丈夫なのではないか、とのこと。夏の山岳までにはどうにかなりそう。左太ももの方は、6/18現在、まだ痺れて表皮の感覚が無い状態が続いている。こっちの方がちょっと心配かも。いずれにしてもローラーを回す分には問題無い状態には回復している。